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すったもんだの末に決まった欧州委員会委員長人事 [アメリカ・ヨーロッパ・ロシア関係]

EU最重要ポスト2つに初の女性起用 首脳会議で合意(AFP)

今年7月2日のEU首脳会議で欧州委員会委員長、欧州理事会議長(EU大統領)、外交・安全保障政策上級代表(EU外相)、欧州中央銀行(ECB)総裁人事が合意を見た。このうち、欧州委員会委員長には、ドイツのウルズラ・フォンデアライエン前国防相が指名された。同月16日には欧州議会での承認され、今年11月1日に委員長へと就任する。


フォンデアライエン氏は第一次メルケル政権で家族・高齢者・婦人・青少年相として入閣。2013年12月に発足した第三次メルケル政権でドイツ初の女性国防大臣に就任。メルケル首相の後継者の1人にも名前の上がっていた人物だ。


欧州委員会委員長はEUの政策執行機関である欧州委員会のトップを務めるだけに、それが誰になるのかはアメリカの大統領や中国の国家主席が誰になるのかと同じくらい重要な人事だ。5年に1回の欧州議会議員選挙が終わったのち、その結果を考慮して加盟国の国家元首などで構成される欧州理事会で委員長候補が指名される仕組みだ。


しかし、今回の人事は非常に揉めた。メルケル首相は当初、欧州議会最大会派の欧州人民党(EPP)グループが推薦していたマンフレート・ウェーバー氏を支持していた。しかし、マクロン仏大統領が政治経験の無さを理由に反対。その後、第2会派である欧州社会・進歩同盟(S&D)が推薦するティメルマンス欧州委員会第1副委員長(元オランダ外相)の名前が上がったが、リベラル系の人物なだけにポーランドやハンガリーなど右派勢力の力が強い東欧諸国を中心に反対論が渦巻いていた。このため、首脳会議が繰り返されたものの、欧州委員会委員長を誰にするのかなかなか決まらない状況にあった。こうしたなか、妥協案として出てきたのが、フォンデアライエン氏の名前だった。


ようやく決まった欧州委員会委員長人事。独仏間の主導権争いに加えて、東欧諸国の影響力拡大など一筋縄ではいかないEUの現状を象徴するような一ヶ月となった。7月16日の欧州議会での人事案採択でも定数751議席のうち、賛成したのは383議席と僅差での可決となっている。フォンデアライエン次期委員長は今年11月以降の5年間、難しい舵取りを迫られそうだ。

(この記事は別ブログにて、7月4日に公開した記事を一部編集して再掲載したものです)
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