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テポドン発射と東アジア情勢 [北朝鮮関係]

先日4月5日。北朝鮮は実に3年ぶりにミサイル発射実験を行いました。なお、ここで中身に人工衛星があったかどうかは重要なことではありません。北朝鮮は核兵器と弾道ミサイルの開発に崩壊寸前の経済・生産力の全力を注いでおり、とても人工衛星を作るような余裕はないと考えられます。また、弾道ミサイルと人工衛星の打ち上げに使われるロケットは構造上同じものですから、今回の実験はミサイル発射実験と見て間違いないと思います。


さて、それでは何故この時期にミサイル発射実験を行ったのか。
1つにはオバマ政権の対北政策の厳しさです。3月に韓国で行われた米韓合同軍事演習。いつもの米韓合同軍事演習は韓国に侵攻してきた敵部隊(北朝鮮軍)の迎撃における米韓軍の連携の訓練を行います。しかし、今年行われた演習では韓国国内だけではなく、沖縄の嘉手納基地やグアムの空軍基地からのF22やステルス爆撃機の出撃訓練も行われています。これは「防御」のための訓練ではなく「先制攻撃」も含めた訓練であると北朝鮮が考えてもおかしくありません。

また、六カ国協議で米国側の代表者であったクリストファー・ヒル国務次官補がオバマ政権において駐イラク大使になるという話が出ています。駐イラク大使というのはアメリカ国務省において、1番人気のない役職になっています。ヒル氏は北朝鮮に対してかなり穏健な姿勢を示していた人物であり、オバマ政権がもしも穏健姿勢で対応するなら、ヒル氏を異動させる必要はないです。つまり、対北外交姿勢を転換するというメッセージに見えます。

もう1つは内部の問題。金正日総書記が倒れて以来、本格的に後継者レースが始まっています。現在は長男の金正男と三男の金正雲の一騎打ち状態となり、そこで人民軍や朝鮮労働党での派閥抗争が始まってると考えて間違いないでしょう。


以上のことに加え、北朝鮮にとって重要産業となっているミサイルをイランやシリアといった国に販売するためのデモンストレーションの要素も含んで、今回テポドン2の発射実験を行ったと考えて間違いないでしょう。


現在、安全保障理事会で決議を求める日米韓と議長声明やプレス声明といった法的拘束力のないものを求める中露で分裂しています。中国・ロシアが北朝鮮を守る理由は、北朝鮮が中国・ロシアにとっての「緩衝地帯」だからです。もしも、北朝鮮が崩壊し、親米国家となり、米軍基地がおかれるようなことがあれば中国・ロシアは戦略的に難しい位置に立たされることになるからです。ですから、万が一にも北朝鮮を崩壊させられないように動くわけです。


いずれにせよ、日本にとって最大の問題は北朝鮮の中距離弾道ミサイル「ノドン」と拉致被害者の問題です。日本は例え中露と外交的に対立することがあっても「北朝鮮は世界最悪の犯罪国家であり、早期に拉致被害者を返し、ミサイルを撤去しない限り一切の妥協をする気がない」という姿勢を崩してはならないと思います。
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