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ロシア、グルジアを攻撃 [アメリカ・ヨーロッパ・ロシア関係]

グルジアからの分離独立を求める親ロシアの南オセチア自治州に進攻したグルジア軍と、同州で平和維持活動を行うロシア軍の戦闘は9日、グルジア領内各地に拡大した。  ロシア軍は、グルジアの首都トビリシ近郊など要所に大規模な空爆を加えるなど攻勢を強めている。グルジアのサアカシビリ大統領は、同国の「戦争状態」を公式に宣言した。  グルジア、ロシア両軍は州都ツヒンバリを巡って激しい攻防を繰り広げた模様で、ロイター通信などによると、ラブロフ露外相は、同州の戦闘で1500人以上が死亡したと語った。住民3万人以上がロシアに避難したとの報道もある。  ロイター通信などによると、露軍はトビリシ近郊の軍事基地のほか、トビリシとツヒンバリとを結ぶ幹線上にある要衝ゴリの軍事施設などを爆撃。西側への石油や天然ガス輸出の拠点として知られる黒海沿岸都市ポチの港も、空爆で壊滅的被害を受けた。一方、同じくグルジアからの分離独立を主張するアブハジア自治共和国でも、露軍が空爆を行ったとの情報がある。 (YOMIURI OBLINEより引用)


さて、北京オリンピックが始まったその日にロシアとグルジアの戦争がはじまってしまいました。グルジアというのはあのチェチェン共和国の南にある、黒海に面した国です。ちなみにあのスターリンの出身地でもあります。

さて、今回のロシアによるグルジア侵攻ですが、突然始まったように見えて実はそうではない可能性があります。

http://www.business-i.jp/news/sato-page/rasputin/200807020015o.nwc
↑これを書いている佐藤優氏はSAPIOでロシア情勢の話を中心に、世界の情報機関の話を書いている方です。あの宗男事件で一緒につかまってしまった外交官です。彼はソ連時代から対露外交の最前線にいた、人物で今回の件を知って、真っ先にこの方の名前で検索していきあたりました。

これによると6月30日にロシア国防省の機関紙『クラスナヤ・ズベズダー(赤星)』に「アブハジア、南オセチアがロシア連邦に加わることについてどう思いますか?」というアンケートの結果が掲載されていたそうです。これを日本にたとえるなら防衛省の機関紙に『済州島が日本の領土になることについてどう思いますか?』と掲載されるようなものです。
佐藤氏はこのアンケートを掲載した理由を、「ロシアの言うことを聞かないと、アブハジア、南オセチアの内部を揺さぶり、これらの地域をロシアに併合してやるゾ」と恫喝(どうかつ)をかけているのである。 としています。そして、まさに今回それが起こったわけです。

今回の戦争は単なる領土・民族問題というよりはカスピ海油田や黒海での影響力といった面での利益からロシアが始めたと考えていいと思います。私はこれを「21世紀の南進政策の始まり」ではないかと考えています。ロシアはプーチン政権下で急速な経済発展を遂げ、ソ連崩壊後の混乱がウソのように経済力が回復し、それに伴って国軍や情報機関の力も復活してきています。

そんな中で石油や天然ガスといった資源の採掘と販売を直接的または間接的にロシアが握るという戦略のもとでヨーロッパへの影響力を拡大させ、ロシア以上に急速に経済発展する中国に自国の潜水艦や戦車を販売、日本に対してはベア爆撃機改造の偵察機で小笠原諸島近辺まで領空侵犯し牽制してくるなど、外交・軍事面での動きも活発化しています。


日本は遠くで始まった火事のようにしか考えていませんが、それは大きな間違いです。1900年代初頭にロシアは中東に進み、トルコを脅かしながら満州(中国東北部)にその手を伸ばし、さらには朝鮮半島にまで影響力を拡大しようとしました。日本はそれに対抗するためにあの日露戦争を戦ったのです。この先、東アジア情勢がロシアにとって介入しやすいものとなればすぐさま外交面・軍事面で介入してくるでしょう。そうなれば、日本の安全保障だって危うくなってしまいます。

現在の外務省の対ロ外交はソ連崩壊後のロシア混乱期の体制のままだし、自衛隊の対ロ防衛体制はソ連時代のままです。プーチン政権によってロシアは『21世紀のソビエト』のようになりましたが、その姿はあのソビエトとは全く別物です。資本主義的なやり方で経済力を強め、エネルギー輸出によってその国への影響力を拡大させる。しかし、ソビエト、いえ、ロシア帝国の時代から変わらないのは逆らうものにはすぐに軍事力を行使する点です。日本政府は今回のグルジアでのロシアの動きを注目し、ロシアがいかなる戦略を持ってユーラシア大陸で行動するのかを注意深く観察していかなくてはならないと思います。
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