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土曜だべり:イラク戦争はなぜ失敗したか [中東・イスラエル関係]

こんにちわ。レポート作成→現実逃避状態のそうてんです。がんばってますw

さて、今回はイラク戦争の話。『なんでいまさらそんな話を?』と思われる方もいるかもしれません。しかし、イラクでの混乱が中東全体に与えた影響は大変大きく、そこのところをまぁづらづらと書いていきます。

私はサダム・フセインの政権を打倒したことは正解だと思っています。彼は金正日のようにミサイル技術を輸出したり、他国の人間を拉致したりはしませんでしたが、クルド人をマスタードガスで虐殺するなど、かなり悪逆なことをやっていました。その点ではあの独裁政権は倒れてよかったと思います。

ですが、それは湾岸戦争のときにやるべきだったのです。湾岸戦争のときはアメリカを中心とする多国籍軍に十分な大義がありました。クウェート奪還後、バグダッドまで進攻し、フセイン政権を打倒すればよかったのです。にもかかわらず、アメリカはフセイン政権を生かしました。そして2003年に大量破壊兵器を製造していることを理由にイラクに攻め込み、今度はフセイン政権を崩壊させました。しかし、大量破壊兵器がないとわかると、アメリカは独裁政権の打倒に大義を変更したのです。私はこれが1番ダメだと思います。戦争を行う上での大義名分は絶対に変更されてはなりません。たとえそれが『正当な理由→正当な理由』であっても、大義は変更してはならないと思います。

最初に言いましたが、私はサダム・フセイン政権を打倒したのは正解だと思っています。しかし、その軍事戦術とその後の統治のやり方は間違っていたと思います。まず、アメリカとしてはイラク戦争はやりたいが、金はかけたくない。そういうスタンスでした。ですから、米軍の統合参謀長がイラクに投入する初期兵力を50万と報告したときに、当時のラムズフェルド国防長官は『精密爆撃でイラク軍の戦力は十分破壊できる。』とし、30万程度しか投入しませんでした。確かに、アメリカの軍事力ならイラク軍など30万程度で十分倒せたかもしれません。しかし、外国から侵入してくるアルカイダなどの武装勢力に対しては無力でした。本来なら50万以上を初期に投入し、イラク制圧と同時にイランやシリアとの国境に兵力を展開していれば、ある程度の武装勢力の投入は防げた可能性が高いのです。その後、武装勢力との戦いが激しくなり、結局兵力を50万に増強したのですが、すでにあらかたの勢力がイラク内にはいったあとだったので、すでに遅かったのです

さて、イラク全土を完全に制圧した米軍ですが、初期兵力の不足から略奪を防げなかったりとイラクの民心を離すような不手際を起こしてしまいます。さらに、イラクの軍事力は大型のものは爆撃やミサイル攻撃で十分破壊していましたが、カラシニコフといった銃器やRPG7といった携行型の武器はかなり分散してしまいました。これが現在の宗派間の紛争や米軍に対するテロで使われているといっても間違いはないでしょう。さらに前出のようにアルカイダなどのイスラム原理主義過激派の武装勢力やらイランやシリアから支援をうけた武装勢力といった細かい勢力が次々とテロや誘拐などを行うため、アメリカは対応しきれなくなっているのだと思います。

アメリカのイラク統治政策にはどうも、かつてGHQが日本を占領していたころの占領政策をそのまま当てはめたものが見えます。バース党員の公職追放や連合国暫定当局の設置などがそう見えます。しかし、バース党員を公職追放したことによりかえって武装勢力の数を増やした上、イラクの官公庁の公務員の大部分がバース党員だったため、行政機能に支障をきたしてしまいました。この場合は米英軍がそれを補完するべきなのですが、先ほどから何度もいっているように、兵力自体が少ないのでそういう部分にまで対応しきれず、これまた民心を離してしまう結果になっています。

アメリカのイラク統治での一番の失敗は日本と同じようにできると考えてしまったことだと思います。おそらく、宗派間の対立や部族の強さといったものを考慮しないまま、ただ独裁政権を打倒→民衆が歓喜の声で米軍を迎える→民主化が達成できる、という単純な思考の上で考えていたのではないでしょうか。よもや独裁政権を打倒→反米勢力が国内に流入、旧イラク軍の兵力とくっつく→テロが多発。米軍は対応しきれず→宗派、部族で武装し始める→宗派間の紛争→内戦化 となるとは予想もできなかったのでしょう。

さて、アメリカがイラクから撤退したらどうなるでしょうか。一番可能性として高いのはソマリアと同じ、つまり政府が機能を失って無政府状態になることです。そうなればイランやシリアが属国化し、新たな反米勢力の一大拠点が誕生し、世界の石油情勢はさらに悪化するかもしれません。また、アメリカがいなくなったあとのイラクで中国がスーダンのようになりふり構わぬ武器の投下を行って親中派独裁政権を誕生させるかもしれません。イランがイラク内のシーア派武装勢力を支援してイラクを属国化してしまうかもしれません。今のままイラクから米軍が撤退すれば、中東は10年くらい先に大混乱に陥る可能性があります。それが今後の世界情勢にどう影響を与えるのかは『お先真っ暗』といっても過言ではありません。

もちろん日本も他人事という顔をしているわけにはいきません。航空自衛隊の一部はまだイラクでの活動を続けていますし、石油の輸入だって大部分をこの地域にゆだねています。ですから、この地域での混乱は日本の資源や経済にまで影響を及ぼすのです。私は日本もイラクに戦闘用の兵力を送れというつもりはありません。しかし、イラクから米軍がいなくなったら何が起こるかわからないのだからイラクからの情報収集を密にし、適宜対応しなくてはならないと思います。

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