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中国が北朝鮮をここまでかばうワケ [中国関係]

23日の北朝鮮による延坪島砲撃事件から東アジアに関わる各国は様々な動きを見せている。アメリカは28日から韓国と合同軍事演習を行うことを決め、黄海に空母ジョージ・ワシントンを派遣している。ジョージ・ワシントンはアメリカのニミッツ級航空母艦6番艦には『F/A-18 スーパーホーネット』が戦闘攻撃機として70機程度配備されている。これがどれだけの戦力かといえば、北朝鮮程度の戦力ならば十分に殲滅できる戦力を有している。


この空母ジョージ・ワシントン派遣を1番快く思っていないのは中国だ。今年8月の米韓合同軍事演習の際も米国はジョージ・ワシントン派遣を検討したが、中国の強い反発にあい、結局訓練を日本海側に移して行った。しかし、今回は『中国外務省の洪磊副報道局長が合同軍事演習について「中国の排他的経済水域(EEZ)内で、許可なく軍事行動を行うことに反対する」との談話を発表』すると8月前後に比べるとトーンダウンしている。


さて、私がよく受ける質問がある。「何故、中国は北朝鮮を助けているの?」である。
たしかに中国は今でも北朝鮮の金王朝を支援している。今回の砲撃事件でもアメリカだけではなく、ロシアまでもが強い反発を示しているのに中国は「両者とも冷静な対応を求める」とかなり柔らかい表現を使っている。何故中国は北朝鮮を支援しなくてはならないのか? それは地理的な条件が大きく影響している。


北朝鮮は中国東北部と国境を接している。仮に北朝鮮が崩壊し、アメリカ側の勢力に入ってしまった(例えば韓国と南北統一、金王朝が崩壊してアメリカ寄りの政権が誕生するなど)場合、間違いなくアメリカは北朝鮮側に何らかの軍事的施設を置くだろう。それでなくても、アメリカ寄り政権の軍事力が中朝国境地帯に配備される可能性は大だ。それは中国にとって安全保障上の優位性をアメリカにとられてしまうということだ。中国、とりわけ人民解放軍首脳部はそれを看過することはできないだろう。

また中国が黄海への空母派遣をここまで嫌がる理由は山東半島の先端付近にある青島(チンタオ)に海軍の基地があるからである。日本でいえば佐世保の近くで中国の空母が軍事演習をやるようなものである。自国の主要な軍事基地の目の前で仮想敵国が主力の軍事力を動かしているのを黙ってみていることはできないだろう。


しかし、中国にとって1番頭が痛いのは「北朝鮮がそれを理解して行動している事実」である。4月の韓国哨戒艦撃沈事件、そして今回の延坪島砲撃事件と今までとは違う軍事的挑発をある意味で「安心して」行っているのはこのような中国の事情を北朝鮮が理解しているからこそである。逆に中国は北朝鮮という存在を心良くは思っていない。しかし万が一アメリカ側に擦り寄られてもこまるという状況である。


今回の延坪島砲撃事件で1番追い詰められたのは中国なのかもしれない。北朝鮮をどのように取り扱っていくのか。中国共産党首脳部は難しい対応を迫られている。
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コメント 2

オッちゃん


本当に緊迫した朝鮮半島情勢
気になりますよね。

やはり中国がどういう姿勢を示すかが
注目されるところですね


by オッちゃん (2010-11-27 17:30) 

そうてん

>>オッちゃん様
中国は六カ国協議再開に向けた代表者会談開催を求めているようです。今の中国にはあまり能動的に打てる手がない、ということを表しているのかなと考えています。とりあえずはこの米韓合同軍事演習中に北朝鮮がどんな動きを見せるかだと思います。
by そうてん (2010-11-28 23:54) 

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