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「雇用問題」と「経済対策」は全く別 [国内政策全般]

最近「派遣切り」の話題がニュースに出ない日はありません。とくに代表的なのが年末年始に話題になった『年越し派遣村』です。ちなみにあの派遣村がただのボランティアでなかったことは皆様周知の事実かと思います。あそこで報道される前には厚労省前などでデモやってますし、何より場所を日比谷公園にしたのは、近くに厚労省があるからです。ちなみに共産党系のデモはだいたいこの日比谷公園が集合場所になっているそうです。

http://image.blog.livedoor.jp/dqnplus/imgs/c/5/c582cd59.jpg
↑しかも、こんな写真まであります。雇用問題と憲法第9条の間にどんな関係があるのか教えてほしいものです(苦笑


さて、最近の報道は「不景気=派遣切り」という感じの報道しかしていません。地方の中小企業はバタバタと倒産し、大企業も軒並み数千億円の赤字を計上しています。また、急激な円高が進み、この赤字はさらに膨らみそうです。また、地方自治体によっては大企業の赤字によって法人税収入が減少。来年度の予算が厳しい状況になってきています。

さて、この問題は全て派遣切りされた労働者が全員正社員として雇用されれば解決する問題なのでしょうか?
日本共産党なんかは「正社員として雇用されれば内需拡大による景気回復が見込める。」という話をするわけですが、それでは本当に内需は拡大するのでしょうか?
例えば自動車。日本はアメリカの約20分の1という面積にも関わらず、アメリカより多数の自動車会社を持っています。しかも、日本は都市部であればあるほど、自動車を持つ利益よりも自動車を持つことで発生するコストのほうが大きくなる傾向にあります。とりわけ東京では車で移動するよりも山手線や地下鉄使って移動したほうが早いですからね。あと日本は自動車関係の税金がものすごく高いです。これを支払うくらいならある程度都市部に住んで、車を必要としない生活を選択するのではないでしょうかね。つまり、自動車業界はもはや内需を主力とする利益構造は見込めないかもしれないのです。ちなみにロシアなんかは領土が広大で、しかも鉄道網もそれほど整備されていないので、自動車がないと不便です。


「経済成長→企業の業績UP→正社員をさらに雇用→生産量があがる→・・・」という高度経済成長型の経済成長モデルはすでに通用しません。なぜなら日本はすでに先進国だからです。実は、企業における雇用量の減少を招く1番の原因は景気の悪化ではなく、技術革新なのです。技術革新が進むと、例えば今まで人間がやってきた作業工程のほとんどをロボットやコンピュータに任せることができます。
これを「雇用量を減らす原因だから、コンピュータやロボットの導入に規制をかけろ!」と主張する人はいないはずです。もしも、そんなことをマスコミが言い出したら、日本の主要企業は工場を固定資産税が安く、ある程度情勢が安定していて、安価な労働力が手に入る国に移転してしまうでしょう。最近ではベトナムやタイ、インドあたりが注目されています。

今は金融の世界以外でも経済のグローバル化が進んでいます。企業にはこれ以上マスコミが「派遣切りを許すな!」と叩き、政府も選挙目当てで製造業に対する派遣を禁止する法案を通せばどうするでしょうか? 本社のみを日本に残し、工場は全て海外に移転してしまうのです。そして、日本人にしか任せられないような高度な作業やそれこそロボットやコンピュータプログラムの製造・作成のみを日本でやるようになってしまうのです。これでは工場における単純労働に従事している人は軒並み職を失ってしまいます。

「役員は何千万も報酬貰ってるのに」と主張する人もいますが、そういう人がそれこそ銀座や六本木のバーで飲んだりしてくれるからこそ、回っている部分もあるのです。日本は会社の上役になってもキツいだけで報酬もさほどもらえず、遊ぶにも会社の経費で遊んでるとさえいわれています。日本の金持ちは実は世界の金持ちに比べると日本でパーッと何千万も使ってくれるほどの金持ちではないのです。だから、中国やロシアの金持ちになんとかお金を落としてもらおうとするわけです。


もちろん「派遣切りされた人を見捨てろ。」と主張しているわけではありません。この部分に対するセーフティネットは必要であり、そこに現在不備があることは否めません。
しかし、だからといって「企業の第一義は社会的責任を果たすこと!」と主張するのは暴論です。企業の1番の義務は「利益をあげること」です。その利益は法人税などの税収という形で国が集め、それを再配分しているのですから。もしも「税収が減ってもいいから、派遣切りされた人を正社員にしろ!」と主張するなら話は別かもしれませんが、単純な作業は機械やもっと賃金率の低い国の労働者でもできてしまいます。正社員を増やすコストがかかってしまうなら、大企業はある程度リスクが低く、賃金率の低い国に工場を移転することを選択するでしょう。

ちなみに景気対策としては今回の自民党の二次補正予算は定額給付金以外はかなり効果があると思います。信用保証枠の拡大は中小企業にとっては大助かりだと思います。


日本は幸い、世界金融危機の第一次被害を先進国の中でも最小限度にすることができました。しかし、ここで「雇用が安定すれば経済も安定する!」として安易な規制強化に乗り出せば、第二次被害、第三次被害をモロにかぶって、結果として第二の世界恐慌である今回の世界同時不況で経済を崩壊もしくは衰退させてしまう危険すらあるのです。

それと、これからはただ大学を出て就職して~ではいつか切られてしまう危険があります。昔のように就職して言われた通り働いていれば定年まで働けるという時代ではないのです。国際的な競争に巻き込まれているのですから。今企業が求めているのは「日本人にしかできない技術やスキルを持っている人材」なのです。ですから、個々人もそれを身につけるような努力を自分自身でしていかなくてはならないのです。そういう意味では来年度大学3年生となる自分も気を引き締めていかないとな、と思います。
タグ:経済 雇用
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ジェプ

長くて最後まで読む気になりません。すみません。

とりあえず、自分も気を引き締めます。
by ジェプ (2009-02-12 00:33) 

Tom

とてもわかりやすい文章で、理解が深まりました。
ありがとうございます。
これからも毎会アクセスさせて頂きたく、お願いいたします。
楽しみにしております。


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Tom

by Tom (2009-04-05 04:01) 

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