SSブログ

離脱期限まであと2か月、なのに議会閉会 [アメリカ・ヨーロッパ・ロシア関係]

英首相、議会閉会を宣言 反ブレグジット派猛反発(AFP)

日本でも自民党が選挙で勝ったりすると「民主主義が死んだ」とか叫び始める人たちがSNS上にいるが、イギリスのはさすがユーモアが効いている。こういうセンスを見習ってほしいと思ってしまう。


さて、28日にボリス・ジョンソン首相は英議会を10月13日まで閉会にすると発表。野党議員から猛反発を受けている。そもそも現在、英国議会は夏休みに入っており、9月3日から審議が再開される予定だった。今回の決定に伴い、この翌週にあたる9月10日には議会が閉会され、10月14日の離脱期限2週間半前から新会期がスタートする。


今回の突然の議会閉会を「クーデター」などと批判する人たちもいるが、ジョンソン首相は法律を犯したわけではない。そもそも、イギリスでは各政党の党大会があるため、例年9~10月に3週間程度休会になっている。また、就任したばかりの首相が新たな政策の実施や議会対策を検討するために、一旦会期を終えるというのは前例が少なくない。今回問題となっているのは、その手法ではなくタイミングだと言える。

もちろん、英国議会が夏休みの間、議員たちは遊びに行っていたわけではない。合意なき離脱に反対する野党各党は合意なき離脱阻止に向けて協力することで合意している。合意なき離脱を認めない法律を策定作業も進められていたなかで、今回の閉会となったわけだ。



今後どのような動きが考えられるか。すでに英国各地の裁判所で議会閉会を無効とするよう求める訴訟が起こっているが、手続きそのものは合法であるため、この方法で止めるのは難しいと思われる。

次に合意なき離脱を認めない、または離脱期限の再再々延期を義務づける法律を制定する方法だが、こちらも9月3日から10日までの一週間ほどで通過させるのは困難だ。しかも、これを通過させるとなると保守党内の離脱慎重派も巻き込まないといけないからさらに時間がなさすぎる。かといって、10月14日の開会以降でもこれまた時間がなさすぎる

最後に残ったのが内閣不信任決議案を通すことだ。しかし、これも先程と同じく時間がなさすぎる。すでに労働党のジェレミー・コービン党首は保守党の離脱慎重派に対して合意なき離脱を阻止するために協力するよう書簡を送っているが、解散総選挙につながる不信任案への賛成に同意するかは非常に微妙なところだ。しかも、野党間でも足並みが揃っているとは言い難い。というのも、コービン党首は「合意なき離脱阻止に向けた野党統一内閣」の樹立を提案しているが、自由民主党はコービン氏が首相になるのに反対している。さらに、選挙となれば離脱慎重派が勝利すると言い切れない面もある。今年5月末の欧州議会議員選挙で英国内で最も議席を獲得したブレクジット党のナイジェル・ファラージ党首が総選挙となった場合には候補者を擁立する動きを見せている。


ブレクジットをめぐる英国内の動きはカオスが収まるどころかますます深まっている。個人的には「もはやどうしようもないな…」という気持ちで、10月末にどういう結末を迎えるのかを楽しみにしているところだ。
nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。